小野田坂道はツールを目指す 第22回 ジロ・ディタリア その1
2019年 03月 19日
23日間で21ステージに渡る長丁場ですから、体力の温存も重要になりますね。
参加メンバーは残念ながら一軍半くらいです。ベストメンバーはやはり本命のツール・ド・フランスに残しているのでしょう。
特にスプリンター陣が薄く、サガン兄貴も若手の(オリジナル選手)Bertos選手もいません。また、丘陵(中級山岳)に向いたアラフィリップさんも不参加です。スプリント・エースはマッテーオ・ペルッキ。
ただし、山岳主体のジロ・ディタリアだけあって、クライマーは豊富。マイカ先輩とザッカリン先輩が山岳(MON)能力80越えで、フルグサンク先輩も79ありますね。
やはり選手の格というものが影響しているのでしょうか。
選手には評価(Reputation)という項目があります。
サガン兄貴はスーパースター(Sperstar)ですね。
アラフィリップさんはスター(Star)
ザッカリン先輩とフルグサンク先輩とマイカ先輩は大陸規模(Continental)
坂道は国際的(International)です。
他にもNationalやDistrict、Regional、Localなどといった評判があります。
ステージ構成は以下の通り
1:チームタイムトライアル
2:平坦
3:丘陵
4:丘陵
5:山岳(登りゴール)
6:平坦
7:丘陵
8:山岳(登りゴール)
9:丘陵
(休養日)
10:平坦
11:丘陵
12:丘陵
13:平坦
14:個人タイムトライアル(平坦)
15:山岳(登りゴール)
(休養日)
16:山岳(登りゴール)
17:平坦
18:山岳(降りゴール)
19:山岳(登りゴール)
20:山岳(登りゴール)
21:平坦
第14ステージで失なうタイムトライアルでの持ちタイムを後半の山岳でどれだけ取り返せるかがカギですね。
5月9日 第1ステージ
最初はチーム・タイム・トライアルから開始です。
普段は結果だけですが、せっかくのワールド・ツアー級レースなので、画像も。
何もせずに自動に進むのをみるだけです。
一応少しいじれるらしいですが、オートに任せた方がいいようです。
チーム全体が基本的に同じ(チームで5番目にゴールした選手の)タイムとなります。
5月10日 第2ステージ
最初に丘がある他は、終盤に4級山岳に設定されている小丘を除き、ほとんどアップダウンのないコースですね。
アレキサンダー・クリストフとマーク・カベンディッシュが双璧で抜けていますね。以下のスプリンター陣は少し力が劣ります。
丘を登り終わって降りに入っています。
いよいよ集団はペースを上げて詰めに掛かりました。
ゴールまであと10kmというところで逃げ集団のうち2人が吸収されました。
あと1人がまだ逃げています。
ここで我がチームのスプリント・エースのペルッキが落車・・・。せっかく「調子+2」なのに何をしているんでしょうか。
何しろ、21ステージに渡る長丁場ですからね。
5月11日 第3ステージ
丘陵ステージですが、終盤は平坦なコース。これは丘を越えてきたスプリンター同士の勝負になる坂道の苦手なコースですね。
ここまで誰も逃げようとしませんでしたが、やっと4人ほどが集団から飛び出しました。
坂道は最大運動係数を60に保って余計な体力を使わないようにしてあります。
海沿いの街なのでしょう。坂が多い市街を進んで、集団のまま後背の高台へ進んでいきます。
ここで1人が飛び出し、2人が続きました。
ペルッキは第2ステージに続いての落車ですね。
2級山岳で集団はペースを上げていたため、頂上で集団の前の方が分離してしまいました。このまま前の方の集団は追走集団として逃げ集団を追っていく模様です。
ただ、降りが長いので、坂道は焦っていません。
逃げ集団とのタイム差は2分ほど。
これはゴール前まで粘り込みそうですね。
ただし、有力選手を含む数十人の選手が遅れています。
5月12日 第4ステージ
第4ステージも丘陵ステージです。こちらも最後は平坦ゴールですが、その前に丘があるのでアタックが決まる可能性がありますね。
タイム差が数十秒単位で付く可能性はあります。
なかなか逃げが決まりません。
三々五々と逃げ集団に加わって行こうとします。
赤い選手なので、そのうち1人は暫定で山岳賞の選手です。逃げて残りの3級山岳の山岳ポイントを取りに行っているのでしょう。
うまくスタミナが温存できれば、もしかしたら勝負になるかもしれません。
暫定山岳賞の選手が逃げ集団から遅れ出しました。逃げ集団へ追い付くのに体力を使い果たしたのか、それとも2つ目の3級山岳ポイントで山岳ポイントを稼いだからもう集団に下がるのか。
ここら辺でアタックがかかるはずですから、それに飛び付く態勢なのですが、誰も来ません。
このままだと逃げ切られてしまいそうなので、頂点までの少しの時間、自ら牽いてみます。
現金なもので、小アタックして坂を駆け上がると、急いで集団は追いかけてきます。
降りでは後ろに回って体力を回復し平坦になったので坂道は前に出ます。
そこで坂道は最後の丘を使ってアタック開始。集団から離れて単独で逃げ集団を追います。
追走集団が44秒差に迫ってきますが、どうでしょうか。2km内に入ればスプリントが可能になり、赤スタミナ(有酸素)で勝負できます。
追走集団も迫ってきており、危ういところですがしっかりと先着しました。
表彰台をキャプチャし忘れましたが、上位40名ほどと後続のメイン集団とはタイム差がついたので、坂道が暫定新人賞で、ジャージを獲得しました。
5月13日 第5ステージ
いよいよ山岳ステージです。
前半にある3級山岳は小手調べで、本命は最後の登りゴールです。
コンタドール、ニバリー、ピノ、ランダ、アル、ザッカリン、当代一流のクライマー達が並びますが、山岳(MON)能力だけならば坂道が最上位。コンタドールを抑えてなんと優勝候補の筆頭に挙げられました。
平坦ステージでないので、スプリント・エースのペルッキはアシストに回り、マイカ先輩を護衛。
逃げをことごとくつぶしているのは「アスタナ」チームのアシスト達。集団を牽いて行きます。
ツール・ド・フランス総合優勝経験者のコンタドールとニバリを両エースとして参加させています。
チームメイトのAlbasini選手(ゼッケン72番)はスイス・チャンピオンの証であるナショナル・ジャージを付けていますね。ベテランのパンチャーです。
坂道の調子は暫定で「+4」。
これはチャンス。初のグラン・ツールでのステージ優勝と総合首位を目指します。
いよいよ最後の長い登りに入ります。
集団は未だに水色のジャージ「アスタナ」が集団をコントロールしています。
坂道の調子は「+5」で確定。これは勝たなければなりません。
まだ坂が緩いので、慌てません。急坂になれば坂道の登坂力ですぐに追いつけます。
いよいよ坂がきつくなります。
これに対しては坂道は追いかけます。カウンターアタックを決めて勝負ですね。
アスタナはアシストが途中まで牽いていたので、もう余力が無いはずです。
ただ、ニバリが来たということは、多分コンタドールが追いかけて来て、その追撃にチーム・メイトのニバリが乗り、コンタドールが力尽きたところでニバリが発射してきたに違いありません。
何しろ2人ともが山岳(MON)能力83の化け物です。このアスタナの両エース態勢は他チームからは恐るべき存在ですね。チーム内でどう折り合いを付けるのかは知りませんが。
なんと50秒近い差をつけられて残念ながら2位。
しかし、ニバリは前のステージで遅れていたので、なんと坂道は総合首位に浮上。ポイント賞もこの2位で確保です。
明日はマリア・ローザ(総合首位のジャージの名前)を着ることになります。
表彰台は撮り忘れてしまいました。
5月14日 第6ステージ
中盤に大きな丘がありますが、前後は平坦なコースです。
坂道は総合首位を維持すべくタイム差無しの流れ込みを狙います。
ゼッケン45番の選手の前にいるピンクのジャージの小柄な選手が総合リーダーのジャージ「マリア・ローザ」を着ている坂道です。なんとも名誉なことではありませんか。
集団はその中によほど逃がしたくない選手がいるのでしょうか、執拗に追いかけています。普通は30秒近く空いたら逃げ切れることが多いのですが、許しません。
おかげでいきなり流れが早くなり、普通は最大運動係数70ならば集団から遅れることは滅多にないのですが、集団は縦長になってやもすれば分断され置いて行かれてしまいます。
坂道は最大運動係数を85にまであげたのですが、まだ不足だと赤字で記されました。一時的に90にまで上げておきます。
坂道は85をキープしたまま備えます。すでに黄色スタミナ(有酸素)が大分減っています、まさかこのまま逃げ合戦が続いてペースが上がり、平地で千切れてしまうなどということがあるのでしょうか。現に有力選手を含む4人が一瞬集団から遅れてしまいました。
坂道は最大運動係数60に下げて自然に前に戻ろうと試みます。
マリア・ローザ着用の坂道の隣に日本チャンピオンのナショナル・ジャージの新城選手が並んでいます。
「さっきの流れ、すごかったな」
「ええ」
「そのジャージ、似合うな」
「ありがとうございます」
なんてこと話しているんでしょうかね。もっとも新城選手の事ですから、本当ならば大逃げに参加したかったでしょうね。ジロ・ディタリアで大逃げが成功して3位に入ったことがありますし。
一時は脱落集団とメイン集団とは4分の差が表示されていましたが、集団の先頭同士を比べていますので、メイン集団は200人近い大所帯ですから先頭から末尾まで何分ものタイム差があります。そのため、実際には1分程度の遅れだったのでしょう。
先頭集団は6分以上の差を付けて逃げています。
普通は最初から付くんですが。
坂道の調子「-3」確定ですね。もういかにうまく流れ込むか、しかありません。
あとは遅れないように最大運動係数を85に上げて付いて行くだけです。
しかしながら、逃げ切りはなさそう。
激しいペースアップで、すでにメイン集団は半分くらいになっています。
メイン集団に生き残っているのは約1/3。坂道は最大運動係数を99に上げます。
すでに我がチームのペルッキが4位でゴール、発射台となったModolo選手も6位に入っています。
この状態ならタイム差無しの集団ゴールになりますね。
個人総合タイム。
5月15日 第7ステージ
終盤に登りきったところで平坦ゴールの丘陵コースです。
総合首位ですから、無理に1位を狙うよりもタイム差維持を狙いたいところ。
さすがに総合首位の坂道には護衛を付けることになったようですね。
しかしこのような最後にスプリント勝負になるかもしれないスプリント・エースのペルッキこそ護衛で保護してなんとかゴール前に連れて行った方が良いような・・・。
坂道は最大運動係数65にしておいて巻き込まれるのを最小限にしておきます。
マリア・ローザを着ている坂道がいるので、チーム・メイトは前の方にいますが、まだ集団をコントロールしていません。
断面図での見た目ほどの勾配ではなく、長く緩い坂です。
この先にあるのが4級山岳ポイント。今は斜度4%程度ですが、もう少しきつくなります。
集団はペースを上げて逃げ集団を追い始めました。
マリア・ローザを抱える我がチームが牽かなくても勝手に他のチームが牽き始めました。
もっとも、この逃げ集団には有力な総合上位の選手はいないので、このまま逃げ切られても総合上位陣には影響はありません。なので、ステージ優勝を目指す優勝候補のスプリンターを抱えるチームが牽かざるを得ないのでしょう。
ただし未だにボトル補充をアシストが始めていません。ゴールまで持つか微妙なところ。
なので、今誰かがカウンターアタックを始めると、きついですね。
空色の目立つジャージの「アスタナ」チームが変わって集団を牽引します。
右上には現在の新人賞タイム差が出ています。首位はもちろん坂道で、2位はもうおなじみのルイ・メンティース選手ですが、2分27秒差をつけています。
あとは2つの丘を越えてゴールです。
一瞬の隙を突かれ、これに即座に対応できませんでした。
坂道は単独で追撃したくないので、誰かが動くのを待ちます。
坂道はすかさずこれに乗りにかかりました。
最後から一つ前の丘がおわり、結構急な降り坂です。
ゼッケンを見ると、ダブル・エースを抱える「アスタナ」はゼッケン1番がニバリ選手、ゼッケン8番がコンタドール選手なので、一応第1エースはニバリ選手なんですね。
2人に挟まれているマリア・ローザを着用する坂道。冷静に考えればすごい絵です。
ティボー・ピノ選手もその後ろに付けられていた選手に使われ、僅かに差されて2位。
我がチームの総合エースのザッカリン兄貴は7位でゴールしました。
5月16日 第8ステージ
2回目の山岳ステージです。このジロ・ディタリアの21ステージのうち7ステージが山岳コースなので、坂道にはグラン・ツールは相性がいいはずです。もっとも相手も強豪なので優勝できるかどうかは別の話ですが。
スタートして降り基調ですが、そこから2級山岳を越えて、そこから再び降り基調のアップダウン。最後に急な山を登ってゴールです。
比較的坂道には相性がいい山岳コースなのではないでしょうか。
ツール・ド・フランスに出場でいるクラスになるためには、このまま総合ジャージを維持して最低でも5位以内で終えるか、またはこのまま新人賞ジャージを維持できればいいのですが、それはまだ長丁場を乗り切らねばなりません。
それよりも手っ取り早いのはステージ優勝をしてしまうことです。山岳ステージは全て坂道は優勝候補ですから、そうなれば今年のツール・ド・フランスにいきなり参加できます。
すでに3ステージの間、マリア・ローザを着ていますから、実質的にはエース交替かそれに近い状態だと思うのですが、どうでしょうか。
スタートから少し降って次に最初の小さな丘を登って行きます。勾配8.5%と結構な登り坂ですね。2人が逃げ出しますが、これはすぐに捕まりました。
中盤の難所、2級山岳の山頂に差しかかってきました。
坂道は最大運動係数60を保って極力体力を温存していますね。
今日も空色の「アスタナ」が牽いています。
ここから2個の小さなアップダウンを越えると最後の登りゴールですね。
坂道はここで脚を使うよりも最後の山岳で逆転する方が効率が良いとみます。
さすがになかなか役に立ってくれますね。
ちょっと想定よりペースが早いですね。これでは他のチームを利しているような・・・。
おかげで集団全体を前にチームメイトが牽いてしまったため、後続とあまり差が付いていません。
体力を完全に失ってしまうのを恐れてじっくりと登って行きます。
しかし総合タイムではむしろ差をひろげていますね。
5月17日 第9ステージ
途中の2つの山岳ポイントを越えた後に降りますが、最後の一つ前の2級山岳が恐らくアタックポイントになりそうです。
最後は登って平坦ゴールになりますので、生き残ったスプリンターのスプリント勝負になるかもしれないので、タイム差無しでなんとかゴールしたいものです。
まあクライムが苦手なので、途中で脱落しそうですが。
おかげでまだ逃げが成立していません。
逃げが5人ほど出ましたが、相変わらずハイペースで集団が牽かれています。
クライム得意なはずの坂道やマイカ先輩も結構スタミナを消費していますね。
すでにペルッキは脱落し、代わりにGuardiniが護衛に入りました。彼もクライム系能力は50台で全く信頼できません。
早くもGuardini選手は脱落し、今までメイン集団の先頭交代に入っていたHaussler選手が代わります。クライム能力はまあまだマシですが、すでに体力を結構使っていますね。
すでに集団は1/3にまで減っていますが、降りで追い付いてくるでしょうか。
集団は小さいままで、脱落した集団はなかなか戻れないようですね。
護衛はAbasini選手にまた代わりました。
坂道は前の方にいて、有力選手のアタックに備えています。乗って行ってタイム差無しでゴールするつもりですね。
先頭交代にアスタナの選手が加わりました。今まで加わっていなかったマイカ先輩も加わっています。本来のエースであるザッカリン先輩も前の方にやってきました。勝負所を前にAlbasini選手が戻ってきて坂道の護衛に再び付きます。
坂道は護衛のAlbasini選手を使って勝負に出ます。
運動係数を85に上げ、「運動係数にしたがって漕ぐ」を選択すると、Albasini選手が懸命に漕いで坂道を牽いてくれます。この抜けだしに対し、たまらず総合2位のニバリがアタック。坂道はすかさずそれに乗って行きます。
坂道は降りの間は後ろに回り、体力を溜めます。メイン集団も追い付いてきそうで、雰囲気はスプリント勝負なのかという感じになっていますが、坂道は残り2kmの手前の登りに入る直前でアタックです。
なんと山岳ステージで取れなかった初のグラン・ツールでのステージ優勝を、この丘陵コースでの奇襲で成し遂げました。
タイム差は後続とは付いていませんが、ボーナスタイムが2位のニバリとのあいだに4秒付きますから、逆に差を僅かに広げました。
坂道は1位2回、2位2回と好成績をあげています。
今日逃げていたBuuet Maxime選手が1日で46ポイントを確保して、大逆転で山岳賞ジャージを確保しています。
3位のFissa Bartolo選手も逃げ集団の一員でした。
どのステージでも一律に1位25ポイント(以下2位20ポイントなど)が設定されているジロ・ディタリアのポイント賞は、平坦ステージだと1位50点だけど山岳ステージでは1位20点とスプリンター向きに調整されているツール・ド・フランスと異なり、総合狙いの選手にも比較的取りやすい賞です。
もしも山岳賞も取っていれば、ステージ優勝、個人総合、ポイント、山岳、新人、チーム総合と6つの表彰台を全て独占で来ていたんですね。
前哨戦には主に「Criterium du Dauphine」か「Tour d'Helvetie(ツール・ド・スイス)」のどちらかが選ばれますが、ドーフィネの方を選びました。こちらの方が時期が少し早いので、疲労が抜けやすいと思ったのです。
無論のこと、間隔があけばRythm(勝負勘のようなもの)が落ちますが、ツール・ド・フランスは最初平坦ステージから開幕し、スプリンター達の競演が一段落した後、丘陵コースを混ぜながら中盤以降にピレネーとアルプスでそれぞれ大体3つの山岳ステージをこなします。つまり、坂道のピークを序盤に持ってくる必要はないのです。平坦ステージでは集団ゴールで流れ込むしかないのですから。
これで今年の大まかな計画が決まりました。ジロ・ディタリアで最低でも新人賞、可能ならばもう1つ以上のジャージを獲得してツール・ド・フランスに乗り込み、そして最後にブエルタ・ア・エスパーニャで燃え尽きます。
次回は休養明けの第10~15ステージですね。
その後にまた1日の休養があり、第16~21ステージでこのグラン・ツールは終わります。
by Pro_Cyclist
| 2019-03-19 21:11
| 小野田坂道はツールを目指す