小野田坂道はツールを目指す 第24回 前哨戦 ドーフィネの戦い
2019年 03月 21日
2017年6月8日~15日 Ctiterium du Dauphine
フランス南東部ドーフィネ地方における8日間のワールド・ツアー級のステージ・レースです。
ツール・ド・フランスの前哨戦としても知られ、多くの優勝者がその年のツール・ド・フランスをそのまま制しています。
坂道は総合エースに指名されました。しかしながらアシスト達に山岳(MON)80クラスの選手はおらず、どちらかというとスプリンター系のアシスト3人と山岳(MON)と丘陵(HIL)能力70台の総合系アシスト3人というある意味バランスのとれた編成となっています。
ステージ構成は以下の通り。
1:平坦
2:平坦
3:チームタイムトライアル(中距離:平坦)
4:平坦
5:山岳(登りゴール)
6:丘陵
7:山岳(登りゴール)
8:山岳(登りゴール)
ツール・ド・フランスが必ず通るアルプスでの戦いですから、山岳が3つもあります。坂道には前哨戦としてその山岳能力が本番でも通用するのかもみたいところです。
6月8日 第1ステージ
まさにサガン兄貴向きのステージといえましょう。
最初の山岳ポイントです。
丘をハイペースで周回しているため、集団の大半がすでに遅れ、メイン集団の方が数が少なくなっていますね。
また1人、後方の大追走集団(むしろこちらがメイン集団かもしれません)で落車がありました。
坂道のアタックをみて、メイン集団も重い腰を上げました。ペースを上げて付いてきます。
ここまでくればもう安心、タイム差無しでゴールできます。
坂道は優勝候補が先頭集団にいないことを知り、強引に追走集団とのタイム差を付けに行ったのです。
無論のことかなり消耗し、翌日以降のステージに影響するでしょうが、もうしばらくは平坦ステージです。そのため、あと2日くらいはおとなしくしていればいいだけです。
6月9日 第2ステージ
サガン兄貴は当然ながら総合首位、かつ暫定ポイント賞1位です。
ジロ・ディタリアで途中から新人賞ジャージを着て以来、ずっと何らかのジャージを着ていましたから、常に前列スタートでした。こんな後方からは久しぶりですね。
2級山岳ポイントを1位通過しました。
単独で逃げる気もありませんので、後続を待ちます。
降りで牽いてもらうのと単独で降るのでは、回復の早さも違いますし。
総合タイムを見てください。1分39秒も遅れています。前のステージで流れに乗れず、平坦ステージにも関わらずタイム差を付けられてしまったのです。
少し緑スタミナ(総合)も消費しましたが、どうやら他の選手にもダメージはいっているようですね。
坂道はもちろん先頭交代には参加していませんが、前の方に位置していますね。
しかし色々と余計な体力を使いすぎたかもしれません。
6月10日 第3ステージ
個人総合タイムトライアルです。結果は29秒差の27位。
総合順に並べています。総合系ではジロ・ディタリアで争ったニバリ選手が10秒差で1つ上の順位にいますが、まあまあ良い位置ではないでしょうか。
6月11日 第4ステージ
坂道は個人タイムトライアルを乗り切ったので、総合優勝狙い一本に絞り、山岳賞ポイントは無理して取りに行かないことにします。
最初の丘を越えました。逃げ集団は早くも7分以上の差を付けました。
少しだけ差が詰まりました。
逃げ集団のメンバーとのタイム差を確認しておきます。もう少し急いで欲しいのですが、集団のペースがイマイチ上がりません。
ゴールまで20kmになりましたが、大分差がつまったものの、まだ逃げ集団との差が気になります。降り基調なので、粘りやすいのです。
坂道は流れ込みに備えて前の方へ。
総合は6位のままでした。
6月12日 第5ステージ
序盤から峠をいくつか越えますが、山場は最後の1級山岳。これを下って最後に少し登ります。
このようなステージでは、常に坂道にとっては最後の登りまでの繋ぎ区間が課題になります。単独で逃げるには少し能力が貧弱なので、誰かに連れて行ってもらわなければならないのです。
谷底の中間ポイントです。
特に何もなく静々と進みました。
ここからが勝負です。
逃げ集団とはまだ6分近い差があります。
この1級山岳は比較的緩い勾配が長く続くので、要注意ですね。
坂道の後ろにはニバリ(ゼッケン11番)、右隣にはキンタナ(ゼッケン1番)がいます。ニバリのアシストが4人もいますね。
直ちに右クリックで左から2番目のアタックに追随するを選択します。
ただし、その前に最大運動係数を85に上げておきました。それ以上にすると赤スタミナも使ってしまうからです。ある程度ペースで追っていきたいのです。
ニバリのダウンヒルは超一級品、これは振り落とされないようにしなければなりません。
坂道はキンタナとニバリに手で先に行くように合図されました。少人数でアタックしている時に、後ろで牽かれてばかりで前に出て積極的に牽きに行かない場合、よくこのゼスチャーが入ります。
坂道はニバリより総合タイムは10秒遅れでキンタナとは1分30秒近くの差を付けています。そのため、一番前に行きたいのはキンタナですから、坂道が行かなければならない理由はありません。坂道はゴール前のアタックでニバリより前に入ればボーナスタイムで差を縮められますから、ニバリの後ろで進みたいところ。
しかし、このゼスチャーは坂道を助けました。2人とも積極的に降りを牽く積りが無いことが分かったのですから、運動係数を下げて回復に努めます。
キンタナ、ニバリ、坂道の三強がお見合いをしている間に、有力ではない選手の1人が突然アタックしました。坂道はこれに付いて行きます。
坂道はその選手を発射台にしてロングアタックを開始です。黄色スタミナは2人より残っているはずです。
警戒していたもう1人のクリス・フルームが8位に沈んでいます。恐らくは3位のチームメイトのためのアシストをしているのでしょう。3位は2014年にこのレースの総合優勝をしているタランスキーです。
このゲームでも、実際と同じくレースごとにエースを変える場合があります。例えば絶対的エースのクリス・フルームをツール・ド・フランスではエースとしますが、その前哨戦ではアシストとして使い、別の選手をエースに立てるのです。これは、調整の場合だけでなく、色々な選手の満足度を維持するためにも行われます。大レースでアシストに回る選手を、格下のレースでエースとして出場させるのです。
キンタナとは2分以上の総合タイム差があります。これは第1ステージの1分29秒差の影響が大きいですね。
6月13日 第6ステージ
最後の登りゴールはかなり勾配がある感じですね。
勝負は2つ目の中間ポイントを越えたあたりからでしょうか。
逃げ集団との差が広がっています。
降りを利用されたか、逃げ集団は8分近い差を付けています。後半のアップダウンを考えると、これはちょっとまずいかもしれませんね。
山岳ステージの場合、ジョバンに逃げて大きく差を付けられるような選手は大抵は平地タイプの選手ですから、山岳で追い付けます。平地で強くて山岳も登れるようなオールラウンダーの選手は逃げのような奇襲ではなくエースとなることが多いですし、仮に逃げたとしても集団が容認せずに執拗に追いかけます。
しかし丘陵ステージの場合、平地と丘の両方に強いタイプの選手が混じっていると、終盤のアップダウンがあるステージでは追いつけない場合があるのです。
坂道は待機です。いかにも速すぎますから、降りでメイン集団が追い付くはずです。
坂道が前に出ようとしますが、チームメイトのCastoviejo選手がどんどん集団のペースを上げるので、むしろ前に出られません。
もう少し落ちついてほしいところ。
キンタナがアタックを仕掛けています。坂道は直ちに追いかけます。
大きいのは、2位のニバリ選手と3位のタランスキー選手を突き離したことです。
6月14日 第7ステージ
4つの峠、そのうち3つが1級山岳を越え、そのあと降ってから平坦を挟んでまた降り、最後に登るステージです。
坂道としては、3つ目の1級山岳の後はすぐに3級山岳なので、3つ目の3級山岳をスタミナを維持したまま上がらなければなりません。
その後、なるべくダメージ無しに最後の登りまで誰かに連れて行ってもらう必要があります。
最初の1級山岳に差しかかりました。
ボトル補充がなかなか入りません。一番上の選手ボックスのCarlsson選手が補充のために下がったところ、上がってこられずに自分だけボトルを受け取って落伍してしまいました。続いてHaussler選手がボトル補充のために下がりましたが、同様にそのまま千切れてしまっています。これはまずい。
いつの間にかメイン集団は40人にまで減ってしまっています。
キンタナとニバリはまだこの集団にいます。
坂道はこのフルームを使うべく後ろに回りましたが、これが大失敗。
フルームはキンタナをそこまで積極的に追う気はなく、その間にキンタナに差を広げられてしまいます。
前にいるのはもう1人の逃げていた選手です。
6月15日 第8ステージ
一度少し登ってから降り基調で、後半は登り基調、比較的緩やかな長い登りです。登りゴールとはいえ、展開の綾がありそうですね。
坂道は山岳賞以外の三賞を維持しています。
逃げ集団とは13分以上の差が付いています。いくらなんでもまずそうですが、集団のペースはあがりません。
ボトル補充が入っていますが、タイミングが悪く、しばらく受け取れそうにありません。
しかしボトルトラブルは続きます。
なんとボトル補充をしていたはずのCarlsson選手が前に出るのに失敗。Castroviejo選手が代わって補充役になりますが、今から集団の最後尾に下がってそれからこの登りを登ってこなければなりません。
これは本当にまずい状況です。当分ボトル補充の当てがありません。
「Sky」の選手が牽きます。坂道はそれに乗るしかありません。
逃げ集団の先頭とはすでに9分以上の差があります。まだギリギリタイム差を保っていますが、これ以上の差を付けられると逃げている選手に逆転されてしまいます。
アシストは体力をほぼ失っているか後方集団にいて、坂道は孤立させられています。ボトル補充の失敗が響いています。
すでに逃げ集団はゴールしています。
ようやくゴール。タイム差は微妙なところ。
悔しい敗北です。ボトル補充がもう少し早ければ、またはボトル補充をもう少し山岳が得意な選手にやらせていたならば、こんなことにはならなかったはずです。
第一ステージで罠にはめて1分29秒差をつけて以来、キンタナは総合優勝は難しい位置にいました。しかし前のステージの判断ミスでキンタナを行かせてしまい、このステージのボトル補充トラブルで余計な体力を使って肝心な時に追えませんでした。このステージも、ボトル補充が厳しいことは分かっていたのですから、もう少しやりようはあったかもしれません。もう少し早く自力でボトルを前に出て入手して体力回復の時間を取ればよかったのかもしれません。
しかしながら、キンタナ、ニバリ、フルームといった強敵を相手に、僅か2秒差での総合2位という堂々の成績を残しました。これは本番に向けて良い調整だったのではないでしょうか。
次回はいよいよツール・ド・フランスに参戦です。
by Pro_Cyclist
| 2019-03-21 22:58
| 小野田坂道はツールを目指す