小野田坂道はツールを目指す 第31回 ブエルタ・ア・エスパーニャ その2 三つ巴の死闘
2019年 03月 30日
2017年8月22日~9月13日 Ronda de Espana【WT GT】
序盤の平坦ステージは乗り切ったものの、丘陵ステージで遅れを取った坂道は、前半戦を2分差以上を付けられていますが、総合上位には進出しています。
後半は坂道のFitnessが段々と整ってくるのに反して長期疲労(Tiredness)がバカにならない状態になってきます。
調子も悪くなりがちで、かつ能力値も全体的に下がっており、ジロ・ディタリアの頃の山にさえいれば無敵である状態からは程遠くなっています。これがグラン・ツールに3つも出る弊害なのでしょう。なにしろ、坂道の超一流な能力は山岳(MON)のみで、グラン・ツールを戦うための回復(REC)は人並みなのです。
9月2日 第11ステージ
1級山岳が3つ、そして超級山岳を通り、最後に2級山岳を登ってから登りゴールです。
丘(HIL)能力上位な選手達を振り落とし、2分以上の差を縮めるためにも、坂道はここは思い切った手に出ようと思っています。
前の方で逃げようとしている3人を早くも捉え、これを抜き去ります。
必死になって追いかけて来ている選手が3人いますね。
追いかけている白いジャージのアイコンは総合3位のメンティース選手ですね。結構近づいて来ています。
その後ろには有力選手達が迫っていますね。さすがに坂道をこのまま逃がすと、どれだけ差が付くか分かりませんからね。
しかし、その後ろに単独で追いかけてくる総合首位のランダ選手がいますね。
ランダ選手がかなり近づいていますね。
超級山岳では後ろに付いて牽いてもらうことにします。
おかげで坂道は体力を大分回復できました。
2級山岳でランダ選手がアタックを仕掛けました。
坂道は貴重な体力を使って追いかけます。ここで離されたら目論見が台無しです。
しかし操作ミスでちょっと追い付くのに手間取り、かなり体力を失いました。
これはチャンス。
また、単独での逃げで緑スタミナ(総合)も酷いことになっていますね。
しかし残念ながらランダ選手との差は思ったよりつけられませんでした。操作ミスでのスタミナ・ロスが痛い。最後坂道はペースダウンさせられましたので。
これでジャージが2つです。これからはスタート位置は最前列になりますね。
山岳(MON)能力に長けた坂道の大逃げにより、付いてこられたのは山岳(MON)能力上位の3人だけ。それ以降は14分以上の差を付けられ、総合4位が16分以上の遅れと、早くも総合優勝は3人に絞られました。
メンティース選手も4分近い差ですから、実質的には山岳(MON)能力上位の坂道と総合首位のランダ選手との一騎打ちと言って良いでしょう。
ただし、この大逃げは結果的にどうだったかは微妙かもしれません。なぜならば、ランダ選手は気にしなければならない選手が坂道のみになったため、戦いやすくなったからです。追いかける選手が多ければ多いほど総合首位の選手は全員のアタックに対応しなければなりませんが、現状では坂道とメンティース選手以外の逃げやアタックは無視できます。そうなると、調子の上がらない坂道がどれだけ差を詰められるか難しいところでしょう。
9月3日 第12ステージ
降り基調で、途中に2級山岳と3級山岳がありますが、最後が平坦ゴールなので平坦ステージ扱いになっていますね。
しかしながら、この山の登りはスプリンターにはきついかもしれません。付いてこられないスプリンターもいるのでしょうか。
どちらにしろ、平坦ゴールでは坂道はもう流れ込むしかありません。
左に総合ジャージ「マイヨホロ」のランダ選手がいます。
何か話しているのかもしれませんね。
逃げ集団の4人とはすでに10分近い差が付けられていますね。
逃げ集団とは5分差にまで詰めていますが、集団は縦長になり、いくつかに分裂しています。
降りなので多分またすぐに1つになるでしょう。
ペースはゆったりとしていますね。
集団ゴールです。
サガン兄貴は5位。
9月4日 第13ステージ
逃げ集団から2人がアタックし、残りは吸収されました。
集団は1分の差が付いています。
総合上位陣には変化はありません。
9月5日 第14ステージ
登り基調で緩やかに3級山岳へ向かって登り、そこから谷底へ向かって降って1級山岳を登ります。そしてそのまま高原を進み、最後はさらに登りゴールという坂道には得意なステージですね。
注意したいのは、1級山岳のあとにほとんど降りがないことですね。そのため、1級山岳の登りでアタックをかけてしまうと、回復できません。
坂道、ミケル・ランダ、ルイ・メンティースと現在の1~3位がそのまま上位に来ていますね。
この優勝候補は単純に能力値でみているため、現在のコンディションなどは関係ないようです。
逃げ集団は11人と少し多いですが、山岳ステージですからいずれ追い付けます。
なにより、坂道の敵はもはやミケル・ランダ選手と追いかけてくるルイ・メンティース選手しかいません。
あまり前に居すぎると、ボトル補充のためにアシスト選手が上がってくるのに時間がかかりますし、やや緑スタミナ(総合)が減りやすいようです。
チームメイトが前の方に来てくれていますね。
4位とはすでに坂道とは16分以上の差がありますから、もう3位までの選手は決まったようなものです。
9月6日 第15ステージ
またもや坂道の得意な登りゴールですね。
山岳賞も狙いたいところですが、途中の山岳ポイントを積極的に取りに行く余裕はありません。
もはや3位までの3人以外は大きな差がありますので、誰が逃げてもあまり総合上位には関係ないので、集団も容認しやすいのです。
坂道の暫定の調子は「+1」ですね。なんとかしたいところ。
序盤から急な勾配もあります。この場所ですでに11.5%。
集団の戦闘にから2番目にヴァルヴェルデ選手がいます。ランダ選手とヴァルヴェルデ選手、この2人の組み合わせを崩さない限り、なかなか大差が付けられません。
坂道がアタックしても、ランダ選手は最初の一部をヴァルヴェルデ選手に牽かせて追ってくるので、スタミナが残っているのです。
その後ろにランダ選手です。
坂道楽々付いて行くことはできますが、この時点で他のチームメイトの黄色スタミナは全滅状態です。
したがって、常にヴァルヴェルデ選手のサポートを受けるランダ選手対独力で戦わなければならない坂道という図式が出来上がってしまいました。
これも、第11ステージで大逃げをしたために、ヴァルヴェルデ選手を含めた大半の選手を事実上総合優勝から脱落させたからかもしれません。そのために、ヴァルヴェルデ選手はチーム内エース争いはせずに、完全にアシストに徹しているのです。
勾配は13.8%、級であればある程坂道の山岳(MON)能力が活きます。
10%を越えるような勾配が続く状態では、先頭を牽き続けたヴァルヴェルデ選手のアシストはさすがにランダ選手も受けられず、単独で追ってくるしかなくなっています。
しかしランダ選手とはわずかに15秒差しかタイム差を付けられていません。ボーナスタイムを加えても19秒だけです。
メンティース選手も普段ならば3位ですから当然新人賞が取れるはずですが、坂道のせいで取れません。運が悪いことです。
チーム総合は、ランダ選手、ヴァルヴェルデ選手の山岳ステージでの上位ゴールで逆転されました。
しかしステージ優勝をしながらランダ選手が僅差で食い下がってくるため、なかなか一気に総合タイムが縮まりません。残るステージも限られてきています。
9月7日 第16ステージ
ただし、中盤までの3つの山岳ポイントは3級ですから、勝負はやはり終盤でしょう。坂道としては、駆け引きなしで山岳能力で押し切れる最後の登りゴールで勝負したいところです。一方で降りや繋ぎ部分をからめられて1つ前の1級山岳でアタックがかかると面倒ですね。
強力な山岳アシストがいれば、1級山岳で前で牽かせてハイペースにし、アタックを封じる手もあるのですが、単独での山岳の戦いを強いられている坂道には、余計なスタミナを使ってしまっては一貫の終わりですから、最後の登りまで何もないことを願うばかりです。
このステージは、坂道にとってはブエルタ・ア・エスパーニャの最後の勝負どころです。
この第16ステージの登りゴールの後は、休養日ですから、思い切ったスタミナの使い方も出来ます。
また、この後は平坦タイムトライアル、丘陵ステージ2つ、降りゴールの山岳ステージ、平坦な最終ステージと続きますから、坂道にとって分差を付けられるようなステージはここしかないのです。
逃げは5人ですが、さらに2人が加わろうと道を急いでいます。
ポイント賞はミケル・ランダ選手が総合タイムと共に二冠、メンティース選手が続いています。そのため、現在ではメンショフ選手は新人賞ジャージでなくポイント賞ジャージを着ていますね。
総合賞>ポイント賞>山岳賞>新人賞の順番でジャージが優先されます。
ちなみに、本来ならばブエルタ・ア・エスパーニャには、総合タイム、ポイント、山岳ポイントの三部門の合計順位を基にした複合賞というものがあり、これが白いジャージなのですが、このゲームでは全てのステージレースは統一規格にされてしますので、その総合賞部門はありません。
逃げ集団の脱落者がポロポロと吸収されていきます。
チームメイトも3人がタイム・オーバーで失格して6人で戦っています。
まあ平地向けの選手で山岳苦手な選手ばかりなので、どちらにしろあまり影響はありません。むしろ、山岳苦手な選手がボトル補充担当とかになると却って迷惑な部分はあります。
もっとも、チームとしてはまだ平坦ステージが1つありますから、サガン兄貴のためには不都合でしょうが。
坂道をぴったりとマークするかのように総合首位のランダ選手がいますね。
坂道はすかさず後ろに付きました。
後ろからさらに総合3位のメンショフ選手も追い付こうと必死ですね。
坂道はこれに対し、赤スタミナ(無酸素)を使わずにペースで追います。
しかし坂道にもスタミナに不安があるのは確か。
さすがにランダ選手には追い付いてくるだけのスタミナはありませんでした。
しかし坂道も決定的に差を付けるだけのスタミナは残っていません。
しかしながら、ランダ選手は決定的に遅れることなく付いてきたため、ついに2分の差を埋めきることはできませんでした。
普段の坂道の調子ならば、山岳ステージ4連勝もすれば、ライバルははるか遠くに行くはずなのですが、決定的なところで長期的な疲労もあり、能力値低下とスタミナの低下が響いています。
もはや坂道はこの山岳王の称号だけは死守しなければなりません。
しかしそれでも、三大ツールの一つ、ブエルタ・ア・エスパーニャでのこの成績です。しかも、ジロ・ディタリア総合優勝、ツール・ド・フランス総合2位及び山岳王と激走の上での成績ですから、満足すべきなのかもしれません。
現実にこんな選手いたら、すごいことになりますね。
特にタイム・トライアルが鬼門です。坂道は総合優勝をするためには、このステージで最低でも逆転しておくしかなかったのです。ランダ選手も純粋なクライマーでタイム・トライアルは苦手な方ですが、坂道は輪をかけて不得手ですからね。
次回はそのブエルタ・ア・エスパーニャの最後の5ステージ、そして本年度の最後の2つのレースです。
by Pro_Cyclist
| 2019-03-30 22:55
| 小野田坂道はツールを目指す